介護施設の第三者評価|長崎県認証の評価機関が解説
「介護施設も第三者評価を受けなければならないの?」——そんなご質問をいただくことがあります。結論から言えば、介護サービスの第三者評価は受審が義務づけられているものではありません。実際に受審している施設は、まだ多数派とはいえないのが現状です。だからこそ、あえて受審する施設は «質の向上に取り組む姿勢» を示すことができます。本記事では、介護施設における第三者評価の位置づけと、受けることで得られるものを整理します。
介護の第三者評価は「任意」です
まず、制度上の位置づけを整理します。福祉サービスの第三者評価には、受審が «義務» とされている分野と、«任意» の分野があります。
| 分野 | 受審の位置づけ |
|---|---|
| 社会的養護関係施設(乳児院・児童養護施設など) | 義務(3年に1回) |
| 認知症対応型グループホーム | 外部評価が必要(別の仕組み) |
| 介護施設(特養・老健・通所など) | 任意(義務ではない) |
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、通所介護など、多くの介護サービスにおいて、第三者評価の受審は事業者の判断に委ねられています。受けなくても、それだけで指定や運営に支障が生じるものではありません。
では、義務でもなく、まだ受審が一般的とはいえないなかで、あえて受審する施設は何を得ているのでしょうか。それは、第三者評価が «受けなければならないもの» ではなく、«受けると得られるものがあるもの» だからです。
「行政監査」とは目的が違います
よくある誤解が、第三者評価を行政監査(実地指導・運営指導)と同じものと捉えてしまうことです。この2つは、目的が根本的に異なります。
行政監査・運営指導
法令が求める「最低基準」を満たしているかを、行政が確認するもの。「できていないこと」を正す視点。
第三者評価
最低基準よりも上、「サービスの質の向上」を目指すもの。「より良くするには」を一緒に考える視点。
行政監査が «満たしているか» を問うのに対し、第三者評価は «どうすればより良くなるか» を問います。第三者評価では、法人の経営・財務状況そのものを評価するのではなく、サービスの提供体制や内容を、専門的・客観的な視点から見ていきます。合否をつけて選別するものではなく、施設の «伸びしろ» を見つける仕組みだといえます。
介護施設が第三者評価を受ける5つのメリット
任意でありながら受審を選ぶ施設が得ているものを、内側への効果と、外側への効果に分けて整理します。
課題が «見える化» される
日々の業務では気づきにくい改善点が、客観的に明らかになります。「なんとなく気になっていたこと」が、具体的な課題として整理されます。
改善の «目標» が立てられる
課題が明確になることで、質の向上に向けた具体的な目標設定が可能になります。次に何をすべきかが見えてきます。
職員の «意識» が高まる
受審の過程で、職員一人ひとりが自らのサービスを振り返ります。自覚と改善意欲が育ち、課題の共有が進みます。
利用者・家族からの «信頼» につながる
第三者の評価を受け、その結果を公表することは、利用者やご家族からの信頼につながります。「開かれた施設」であることの証になります。
施設の «PR» に活用できる
評価結果は公表され、施設選びの参考にされます。受審したこと自体を、ホームページやパンフレットで発信することもできます。
利用者・ご家族は「選ぶとき」に見ています
第三者評価は、施設側のメリットだけの話ではありません。利用者やご家族が施設を «選ぶ» ときの、大切な判断材料にもなっています。介護保険制度は、利用者が自らの意思でサービスを選ぶ «自己決定» を大切にしており、その «選ぶための情報» として、第三者評価が位置づけられているのです。
利用者・ご家族が受審状況を確認できる方法は、主に2つあります。
① 介護サービス情報公表システムで確認する
厚生労働省が設置する「介護サービス情報公表システム」では、全国の介護事業所の情報をインターネットで誰でも検索・閲覧できます。利用者が事業所を比較・検討して選ぶための仕組みで、第三者評価の受審状況もここで確認できます。受審している施設は、「サービスの質の向上に取り組んでいる施設」として、選ぶ側の目に留まります。
② 重要事項説明書で説明を受ける
契約前に交わす重要事項説明書には、「第三者評価の実施状況」を記載し、利用者に説明することとされています(平成30年の厚生労働省通知による)。具体的には、実施の有無・直近の実施年月日・評価機関の名称・評価結果の開示状況を説明します。つまり、契約を検討する利用者は、必ずこの説明を受けることになります。
重要事項説明書に第三者評価の項目がない場合、運営指導の際に記載を求められることもあります。「実施の有無」を説明する以上、«受審している» と記せることは、施設にとって一つの強みになります。
※ 記載内容や取扱いの詳細は、所管の指定権者が示す最新の基準をご確認ください。
「点数をつけられる」のではなく「一緒に考える」
第三者評価と聞くと、「厳しく採点されるのでは」と身構える方もいらっしゃいます。しかし、第三者評価の本来の目的は、優劣をつけることではありません。
私たちが大切にしているのは、点数をつける «判定者» ではなく、施設の成長に寄り添う «伴走者» であることです。現場で光る取り組みや工夫をしっかりと受け止め、改善へのヒントを一緒に探します。評価の過程そのものが、施設にとっての «気づきの機会» になるよう努めています。
また、受審の前段階として、あるいは受審とは別に、職員・利用者アンケート調査から始める方法もあります。まずは現場の声を «見える化» し、そこから改善の糸口を探る——そうした進め方も可能です。
まとめ
介護施設の第三者評価は、義務ではなく «任意» の取り組みです。受審している施設はまだ多数派ではありませんが、それは裏を返せば、受審することが «他との違い» を示す機会になるということでもあります。行政監査とは異なり、サービスの質を «より良くする» ための仕組みだからこそ、課題の見える化、職員の意識向上、利用者からの信頼、そしてPR——受審には、義務を超えた価値があります。
「受けるべきか迷っている」「まず話を聞いてみたい」という段階でも構いません。私たちは、長崎県認証の第三者評価機関として、施設の状況に合わせたご相談をお受けしています。
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※ 本記事の内容は、一般的な制度の概要をまとめたものです。受審の要否など個別の取扱いについては、所管の自治体・都道府県等が示す最新の情報をご確認ください。

