なぜ重要事項説明書に第三者評価の欄があるのか|制度の背景を解説

なぜ重要事項説明書に第三者評価の欄があるのか|制度の背景を解説

2026年09月03日(木)11:14 AM

「重要事項説明書に、第三者評価のことを書く欄があるのはなぜ?」——ふとした疑問かもしれませんが、その背景には、福祉サービスのあり方をめぐる大切な考え方があります。実は、利用者への重要事項説明のなかで「第三者評価の実施状況」を説明することが求められています。本記事では、その制度の背景と、施設・事業所が知っておきたいポイントを整理します。

重要事項説明書で「第三者評価の実施状況」を説明します

まず、制度の内容を確認します。平成30年3月の厚生労働省通知により、利用者やそのご家族に対して、「第三者評価の実施状況」を、サービスの選択に役立つ重要事項として説明するものとされました。平成30年4月以降、運営基準のなかに位置づけられています。

具体的に説明することとされているのは、次の4点です。

① 第三者評価の実施の有無 … 受審しているか、していないか。

② 実施した直近の年月日 … いつ受審したか。

③ 実施した評価機関の名称 … どこの機関が評価したか。

④ 評価結果の開示状況 … 結果を公表しているか。

ここで大切なのは、これは「受審が義務」という意味ではないということです。求められているのは「実施状況の説明」であり、受審していない場合は「実施なし」と説明すればよい、という立て付けです。受審するかどうかは、あくまで任意です。
※ 記載項目や取扱いの詳細は、サービス種別・自治体によって異なります。所管の指定権者にご確認ください。

なぜ「説明」が求められるのか——背景にある考え方

では、なぜ第三者評価の実施状況を、わざわざ利用者に説明することになったのでしょうか。その背景には、福祉サービスの大きな「流れの変化」があります。

かつて:「措置」の時代

行政が「どのサービスを使うか」を決めていた時代。利用者が自分で選ぶ場面は限られていました。

いま:「契約」の時代

利用者が「自らの意思で」サービスを選ぶ時代。介護保険制度の導入以降、この考え方が基本になりました。

利用者が「自分で選ぶ」ためには、選ぶための「情報」が必要です。しかし、サービスの質は、外からはなかなか見えません。そこで、公正・中立な第三者による評価の「実施状況」を利用者に伝えることで、「この施設は、質の向上にどう取り組んでいるか」を、選ぶ側が知る手がかりにできる——これが、説明が求められる理由です。

つまり、重要事項説明書の「第三者評価の欄」は、「利用者本位」「利用者の自己決定の尊重」という理念が、形になったものだといえます。単なる事務手続きではなく、福祉サービスの根っこにある考え方が込められているのです。

「実施なし」と「実施あり」、選ぶ側にはどう映るか

受審は任意ですから、「実施なし」と説明すること自体に問題はありません。ただ、説明を受ける利用者・ご家族の「受け止め」 を想像してみると、施設にとっての意味が見えてきます。

たとえば、複数の施設を比較検討している利用者が、一方では「第三者評価を受け、結果も公表しています」と説明され、もう一方では「実施していません」と説明されたとき——どちらに「安心」を感じるでしょうか。受審は、こうした場面で「質の向上に取り組んでいる」という姿勢を、目に見える形で示す機会になります。

記載漏れにも注意を

もう一点、実務的な注意です。重要事項説明書に「第三者評価の項目そのものがない」場合、運営指導の際に「記載するように」と指摘を受けることがあります。多くは口頭での指導にとどまり、重い処分に直結するものではありませんが、そもそも項目が漏れていないかは、一度確認しておくとよいでしょう。

なお、近年は運営規程・重要事項等について、書面の掲示に加えてインターネット上での公表も求められる方向にあります。あわせて、自施設の対応状況を確認しておくと安心です(詳細は所管の指定権者にご確認ください)。

まとめ

重要事項説明書で第三者評価の「実施状況」を説明することが求められている背景には、「利用者が自らサービスを選ぶ」という、福祉サービスの根本的な考え方があります。受審そのものは任意ですが、「実施あり」と説明できることは、選ばれる側にとって、質への取り組みを示す確かな手がかりになります。

「うちの重要事項説明書は大丈夫だろうか」「受審を検討したいが、何から始めれば」——そんなご不安やご質問があれば、お気軽にご相談ください。私たちは、長崎県内の施設・事業所の皆さまに向けて、長崎県認証の第三者評価機関として、制度のご説明から丁寧にお手伝いしています。

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※ 本記事の内容は、一般的な制度の概要をまとめたものです。重要事項説明書の記載項目・運営指導での取扱い・公表方法などは、サービス種別や自治体によって異なります。所管の指定権者・都道府県等が示す最新の情報をご確認ください。


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